2023年4月30日に行ったイベントの報告を行います。(当日資料などは下記リンクよりDLいただけます)
会場81人、zoo m参加22人の方々にご参加いただきました。
はじめに、星野さんより私たち市民連合がこれからも引き続き戦っていくためにも理論武装として必要ということで前説がありました。
関野先生の講演は、アベノミクスが10年続いた結果、生活が大変なインフレ、不景気、賃金が上がらない状況に陥っており、その打開策として、経済を学ぶことが重要であり、また同時に現在の世界はインフレ不況、金融危機、戦争の危機に直面しており、平和で民主的な社会を選ぶためにも経済学を学ぶ必要があるとのこと講演がスタートしました。
現在の日本における金融政策について、金利を上げることが大事であるが、単純に金利を上げた場合、大不況に陥る可能性があると述べられました。そのため、金融緩和を続けることで物価高の行き詰まりを回避しようとしているが、このままでは物価がどこまで上がるか不明であり、解決策が必要だとのことでした。
関野先生は、以下の三つの解決策と解決策実現のための筋道を提案されました。
- 利上げに耐えられる大幅賃上げと中小企業支援
- 利上げに耐えられる消費増税、インボイス中止
- 利上げに耐えられる社会保障充実と財源論
大幅賃上げが必要であるというお話の中で、米国やEUでは生産性の上昇に伴って雇用者報酬が上がっているが、日本では生産性の向上がされているにもかかわらず、雇用者報酬がむしろ下がっているというグラフを紹介されました。
賃金を上げるには労働生産性を上げなければというのはネット上でも本当によく見る言説であり、多くの人がなんとなく同意して内面化している価値観であるように思います。しかし現状が明らかに減らされている(増やされていない)状態であるというのがグラフと説明からはっきりわかりました。
インボイス制度なども世代を問わず、クリエイター層の関心が非常に高い話題であり、ここまで複雑な仕組みをつくって労働者を苦しめて税金を取っていながら、大した額を集められているわけではないという主旨も印象的でした。
全体を通して、大企業やお金持ちに対する優遇と搾取される労働者という形で、現行制度に対する様々な形の対案が示されました。
僕のような世代だと「経営者目線で考えるべき」というような風潮が強く、最低賃金上昇などについても実際に生活は苦しくとも「あまりわがままを言ってはいけない」というのが感覚としてあるように思います。しかしそれはわがままではないし、実際に石油ショックの際などは低い内部留保で雇用者報酬を維持しつつスタグフレーションを乗り切ったという実例も紹介され、私たちはもっと経営者に貯めこんで備えるだけでなく「もっと賃金を上げろ!」「しっかりしろ!」と言ってもいいのだということを感じました。
詳細な数値やグラフとともに、これからの経済についてどのような道筋がありうるのか、私たちの選択肢としてありうるのかということをご説明いただいて、とても勉強になる講演会でした。
質疑応答でも質問の手が途切れず、時間を延長して活発な議論が行われておりました。
最後には石川捷二先生より締めの言葉をいただき、閉会となりました。
(報告:事務局)
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